各ステージに応じた最適ながんの放射線治療を徹底研究!
ここでは放射線治療で使用されるサイバーナイフの特徴や治療適用範囲、費用などについて紹介しています。
領域照射 | 長体軸照射 | 定位照射 | 複数定位 | IMRT | |
---|---|---|---|---|---|
トモセラピー | ◯ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
サイバーナイフ | × | × | ◎ | ◯ | ◯ |
VERO | ◯ | - | ◎ | - | ◯ |
ガンマナイフ | - | - | ◎ | ◯ | - |
陽子線治療 | ◯ | ▲ | ◯ | × | ◯ |
重粒子線治療 | ▲ | × | ◯ | × | ◯ |
サイバーナイフは脳腫瘍の治療をX線で行うことを目的にアメリカのスタンフォード大学で開発された定位放射線治療装置です。
その後の機能の向上により、現在では脳・頭頚部だけでなく肺がんや肝臓がん、前立腺がんなど体幹部での治療も可能になりました。
工業用ロボットに小型リニアックを搭載した構成になっており、病巣に対して1200方向から高精度の放射線を照射することが可能なため、周囲の正常細胞への影響を抑えながらがんの治療できるのが特徴です。
高度な位置認識システムを搭載しているため治療中に患者が動いてしまっても1cm以内であれば追尾して照射点を補正したり、それ以上になると照射を中断するなどの制御ができる仕組みとなっています。
外科手術のように全身麻酔や切開といったことを行わないので入院の必要がなく、複数日に分割して照射することもできるので日常生活への影響も少なくて済みます。
また身体への負担が軽いため、高齢者や全身状態が悪くて手術が難しいといった場合でも治療ができるのがメリットです。
但し、どちらかというと小さな病巣を正確に照射することを目的としているため大きな病巣に対しての治療は不向きで、病巣が多数あると治療時間が長くなるという性質もあります。
頭蓋内疾患(良性・悪性脳腫瘍、脳動静脈奇形など)、頭頚部疾患(咽頭がん、鼻・副鼻腔腫瘍、舌がん、口腔底がん、歯肉がんなど)、体幹部疾患(肺がん、肝がん、脊髄動性静脈奇形など)、脊椎・脊髄疾患(転移性脊椎腫瘍、脊髄腫瘍など)
※頭蓋内疾患、頭頚部疾患は保険適用ですが、その他は一部適用または保険適用外のものもあるので要確認
治療にかかる費用は64万円ですが、保険適用で3割負担の場合は約19万円になります。
定位放射線治療
ここでは放射線治療に取り入れられている「サイバーナイフ」の副作用や治療後について説明。また妊娠中の放射線治療についても紹介しています。
サイバーナイフは治療中に痛みや熱さを伴わない安全性の高い治療です。寝ている間に放射線が的確に患部のみを治療するため、的確かつ短時間での治療が可能です。
医師の手腕が左右する手術と違い、的確に患部を治療できるため、副作用についてもごくわずかで済むという特徴があります。一例として、頭部をサイバーナイフで治療した場合、部分的に髪の毛が抜けたりすることがありますが、一時的なものですので心配はありません。
他に考えられる副作用としては、照射部や疾患の状態にもよりますが、皮膚に赤みがさしたり、喉付近については口の渇きがみられる場合があります。
ただし、これらの副作用は必ず現れるというわけではなく、照射の程度や部位によって異なります。基本的には、あまり副作用について心配することはないと言われています。
脳については、脱毛のほかにも一時的にむくみが生じる可能性が挙げられています。むくみによって頭痛を起こしたり、不快感や気分が下がるといった症状も挙げられます。
いずれにしても副作用が何らかのかたちで現れた場合は医師と相談し、適切な治療を受けることが大切です。
脳のむくみについては、治療直後に痙攣のような発作が起きるケースもあります。治療前にけいれん症状が出ている方については、治療後も発作の可能性がありますので、注意して治療にあたらなければなりません。
サイバーナイフを使った放射線治療の副作用には、治療後早くに症状が現れる「急性反応」と、治療後しばらくしてから現れる反応とに分けられます。
早期の急性反応では、局所的(サイバーナイフの照射部位など)に現れるケースがほとんどで、全身に反応をきたすことはありません。
急性反応の場合、細胞組織が放射線に対してダイレクトに反応した状態であり、しばらくしてから現れる反応の場合は、毛細血管などの組織に関わる障害と考えられます。早期か後期かによっても、治療の方法は異なります。
サイバーナイフを使った放射線治療は、手術とは違い体に傷をつけずに患部を治療することができます。麻酔の必要もなく、痛みや熱さを感じずに安全に治療が受けられ、予後についても良好であることが特徴です。
放射線治療に不安を抱えている方も少なくありませんが、サイバーナイフは安全性の高い治療法のため、脳など重大な臓器についても、治療後の負担が最小限で済むというメリットがあります。日常生活をほとんど不自由なく、治療前と同じように維持することが可能です。
患部に的確に放射線を当てることができるため、体への負担もごく最小限。高齢の方や他の疾患との合併症が心配な方でも治療が受けやすくなっています。
妊娠中の女性については、サイバーナイフを使った治療は避けるのが基本となります。
これは放射線の照射により、胎児に何らかの悪影響がもたらされる可能性があるためです。放射線治療だけでなく、放射線を使った検査についても同様にリスクが高いとされています。
通常、サイバーナイフを使った治療に入る前に妊娠の有無を調べてから治療計画を組み立てるのが基本となります。妊娠している場合は出産後か、もしくは中絶後などに放射線治療を開始するようにします。
骨盤から離れた部位にガンなどができている場合、胎児に影響がない範囲であれば放射線治療が可能とされていますが、被ばく量などを考えながら慎重に治療計画を組み立てなければなりません。
反対に、骨盤内にできているガンや腫瘍に関しては、胎児への影響を考えてサイバーナイフを使わない治療を勧められます。